黄金虫
作詞:野口 雨情 作曲:中山 晋平
黄金虫は金持ちなのだ
1922年(大正11年)に発表された童謡。
昭和になってレコードが発売され、ラジオでも流れるようになりヒットしました。
歌詞の意味
(著作権消滅につき、記載します)
- 黄金虫は金持ちだ
金蔵立てた蔵立てた
飴屋で水飴買ってきた - 黄金虫は金持ちだ
金蔵立てた蔵立てた
子供に水飴なめさせた
食べ物が少ない時代に水飴をなめる・・・野口雨情の目にはとても羨ましく写ったことでしょう。
この歌は、コガネムシが木の幹にでてくる蜜を舐めている・・・と思っていた筆者でしたが、どうも違うようでした。
黄金虫はコガネムシではなかった?
歌詞に黄金虫とあるので、昆虫の「コガネムシ」のことかと思いますよね。
実は違う虫の歌らしいのです。
歌詞の内容からして、「コガネムシ」ではなさそうなのです。
そもそも、コガネムシってどんな虫?
黄金虫は、光沢のある緑色をしたまるっこい昆虫。(赤茶や紫っぽい色のコガネムシもいるらしい)
元々は山奥に住み人里にいることは珍しかったらしい。
幼虫は植物の根を食べ、成虫は葉を食べる。
葡萄や柿、大豆などの果物や野菜の葉もどんどん食べていくため害虫に指定されています。
見た目は高級そうでもないし、葉を食べるので蔵には縁がなさそうだし、水飴を食べるのもなんだかおかしい。
黄金虫=チャバネゴキブリ説
北関東では、チャバネゴキブリのことを「黄金虫」「金虫」と呼ぶ地域があるそうです。
ゴキブリは江戸時代には「油虫」や「御器噛(ゴキカブリ)」と呼ばれていました。
あぶらっぽい体と、蓋付きのお椀(御器)でもかじるからだそうです。
特にこのチャバネゴキブリは、寒さが苦手で暖かいところを好みます。
一般人の長屋のような、寒くて食べ物もない場所よりも、金持ちの家であたたかく食べ物が豊富なところに住み着いたのでしょう。
なので、ゴキブリが出るような家は「金持ちの象徴」とされていたようです。
そして、ゴキブリの卵は財布のような形をしています。
財布(小金)を持っている虫は大変縁起が良いとされていたようです。
貧乏人が一生懸命働いて、ついに家にゴキブリが出たときには・・・・
ゴキ様を拝み、大出世のお祝いをしたのかもしれませんね。
黄金虫=玉蟲(タマムシ)説
茨城県の中でも、野口雨情の故郷が近い地域では、タマムシを黄金虫と呼ぶ地域があるそうです。
見た目はとても煌びやかで、ゴキブリよりずっと「黄金虫」のイメージに近いですよね。
そういえば日本史で勉強しました〜「玉虫厨子」。このタマムシですね。
諸説あるようですが、
ゴキブリか玉蟲か・・・となると、筆者はゴキブリの方が歌詞のイメージに近い気がしました。
歌唱ポイント
印象的メロディーラインです。階段を上り下りするように、丁寧に音を置いていきましょう。
歌詞の作りがどうも、噂話みたいですよね。
「あそこの金持ちは蔵を建てたらしいわよ〜〜〜」って。
黄金虫ってこんな虫なのよ、と話しかけるように歌ってみると良いと思います。
・・・虫がお嫌いの方にとってはかななか厳しいページとなったことをお詫びします。。。
筆者が書かれている 「歌詞の意味」「黄金虫はコガネムシではなかった?」を興味深く読みました。
「黄金虫は金持ちだ・・・」を変えて歌ってみました。
「コガネムシは金持ちだ・・・」、「御器噛(ゴキカブリ)は金持ちだ・・・」、「油虫(アブラムシ)は金持ちだ・・・」、「玉蟲(タマムシ)は金持ちだ・・・」。
作詞者の身近かにいた昆虫は、甘いものを好む?ゴキブリであろう。筆者がイメージされているのと同じように想います。
黄金虫はどの昆虫だったかはありますが、歌詞の単語は「黄金虫(コガネムシ)」でよかったのでは。
勉強になりました。