童謡・唱歌って同じじゃないの?って思っている方は多いと思います。
実はいろいろと違うことがあるんです。

他にも似ているもので、日本歌曲・わらべうた・手遊び歌・・・・
これらがどのようなものかをわかりやすくまとめてみました。

※この図は、2021.1に「日本唱歌童謡教育学会」杉本氏の監修の元、作成しなおしました。

『童謡』とは

広い意味では、「子供向けの歌」のことをいいます。

大正時代の後期以降、西洋音楽を取り入れながらも、子供に歌われることを目的として作られた曲であり、唱歌やわらべうたは含みません。

日本国外の子供向け曲を日本語に訳したものについても、童謡の部類に入ります。

西洋音楽の7音階で作られています。

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『唱歌』とは

明治維新後、西洋音楽を取り入れ、学校の音楽教育のために作られた曲を唱歌と呼びます。尋常小学校の音楽の教科書に載っていた曲です。日本の自然を表現している曲が多くあります。

時代背景が関係しますが、戦争当時の国民の正直な心情は歌詞には載せず、異様に前向きで明るい表現になっていることさへあります。戦争に反対するのが非国民と呼ばれた時代です。学校用の教科書への掲載はタブーだったのでしょうね。
西洋音楽の7音階で作られています。

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文部省唱歌とは

1910年(明治43年)の『尋常小学読本唱歌』から1944年(昭和19年)の『高等科音楽一』までの教科書に掲載された楽曲を、特に文部省唱歌という呼び方をします。

文部省唱歌を作った作詞者と作曲者には、文部省から特別高額な報酬が出され、作者が誰かというのは一切口外しないという契約がされたそうです。『国が作った歌』という位置づけにとてもこだわったのだというのが良くわかります。

戦後より、文部省唱歌の作者たちがわかってきた作品もありますが、未だ不明なものは作詞作曲に「文部省唱歌」と記載されています。

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『日本歌曲』とは

歌曲とは、演奏会で独唱するために書かれた曲のことを指します。
唱歌でも歌曲に分類されるものもあります。

西洋音楽の7音階で作られています。

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『わらべうた』とは

子どもたちが遊びなどの日常生活の中で,口伝えに歌い継いできた歌のことを指します。自由に作りかえられながら遊び仲間などによって伝承していきます。伝統的要素がきわめて強く、地方によって多少違う歌詞やメロディーで、そこから変化しながら伝承していきます。
わらべうたには、まりつき・なわとび・鬼遊びなどの遊びの歌の他に、様々な数え歌があります。

わらべ歌は独特な音の流れですが、通称「ヨナ抜き音階」と言われる日本独特の音階で構成されています。
基準となるドから始まって、4番目のファと7番目のシが抜けているので、ヨナ抜きと呼ばれているんですね。

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『手遊びうた』とは

わらべうたとイメージは似ていますが、西洋音楽7音階で構成されています。
言葉と身振りを一体化させて、子供の言葉の習得や想像を膨らますために、幼児教育・保育・育児にも多く取り入れられています。

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『抒情歌』とは

抒情歌は叙情歌とも書き、日本の曲のジャンルの一つです。

哀感や郷愁、懐かしさなどをそそるものを指し、大人が子供に聞かせても差しさわりのない曲です。恋愛ものの演歌、軍歌、ヤクザに関わりがあるものは除きます。童謡歌手によって歌われたり、テレビやラジオなどで懐かしの曲として紹介されるなど、他ジャンルとの境界線は曖昧で、広い意味としてとらえられています。