汽車ポッポ

作詞:富原 薫 作曲:草川 信

鉄橋だ、鉄橋だ、うれしいな!

1937年(昭和12年)にレコード用の童謡『兵隊さんの汽車』として発表。
SL列車(汽車)に乗って出征する兵士を見送る内容で、歌詞は現在とは違うものだった。

1945年(昭和20年)の大晦日にNHKラジオの『紅白音楽試合』でこの曲が歌われ、世に広まっていったようです。

日本の歌百選に選出されました。

※汽車ポッポという同タイトルで別曲(今は山中〜)もあります。

歌詞の意味

  1. 蒸気機関車が シュッポシュッポシュポッポ と走る
    僕らを乗せて走る
    スピードが速く、窓の外に見える畑や家は飛んでいくようだ
    走れ走れ!鉄橋が見えてきた 楽しいな
  2. 蒸気機関車が シュッポシュッポシュポッポ と走る
    汽笛を鳴らして走る
    楽しい眺めだ 野原や林や山が見えてくる
    走れ走れ! トンネルだ 嬉しいな
  3. 蒸気機関車が シュッポシュッポシュポッポ と走る
    煙を出して走る
    どこまでも行こう 明るい希望がまっているから
    がんばって走ろう

戦前戦後で変化していく

元になった童謡『兵隊さんの汽車』の歌詞を掲載したいのですが、未だ歌詞の著作権が続いているようです。
ざっくりとだけ歌詞の内容を書いてみます。

戦前「兵隊さんの汽車」ざっくり歌詞

【1番】

汽車 シュッポシュッポシュポッポ
兵隊さんをのせて シュッポシュッポシュポッポ 
僕らも日の丸の旗をふって送りましょう
バンザイ!バンザイ! 兵隊さんバンザイ!

【2番】

汽車 シュッポシュッポシュポッポ
兵隊さんをのせて シュッポシュッポシュポッポ
窓から日の丸の旗を振っている兵隊さん
バンザイ!バンザイ! 兵隊さんバンザイ!

【3番】

汽車 シュッポシュッポシュポッポ
兵隊さんをのせて シュッポシュッポシュポッポ
まだ見えるよ 汽車のまどに日の丸が
バンザイ!バンザイ! 兵隊さんバンザイ!

御殿場駅で兵隊さんを見送っている風景を歌っている

作詞の富原薫は、静岡県の御殿場市で小学校の教員をしていました。
御殿場には陸軍の演習場があり、御殿場駅のホームでは戦争にいく兵士を万歳で送り出す光景は日常だったそうです。

駅のホームで日の丸を振って見送り、
兵隊さんはそれにこたえて日の丸を振り、
汽車が出発してもなお窓の日の丸が見えている。

情景が見えてきますね。

戦後に歌詞が変更された

戦後には、戦争を前向きにとらえるような歌詞は廃止されていきました。
この曲も、兵隊さん万歳曲だったので、変更されていったのですね。

兵隊さんに関することは削除され、汽車の窓からみえる風景が描写されています。

3番は「明るい未来が待っている」。
戦後の日本に、これから先の希望に向かって走っていく前向きな歌詞に変更されています。

生きる気力を振り絞って前を向いて生きていこうと、時代背景がよくわかる歌詞だと思います。

歌唱ポイント

汽車の走り抜けるスピード感を出したいですね。

前半の「シュッポッポ」部分は、汽車の車輪が回ってリズム良く走っていく感じ。
畑・家・野原 など、見えているものがしっかり伝わるように、言葉を大事にしたいです。

走れー走れー走れー はクレッシェンドで盛り上がり、気持ち早めに走り抜けていきましょう!

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