われは海の子
作詞作曲:文部省唱歌
浜辺で力強く成長する男の子の歌です
1910年(明治43年)発行の文部省『尋常小学読本唱歌』で発表さた文部省唱歌。
2007年(平成19年)に日本の歌百選に選出。
作詞作曲者は不明だが、宮原晃一郎の原作を芳賀矢一が編曲したのではないかという説がある。
歌詞は7番まであったのですが、戦後に国防思想や軍艦など戦争をイメージさせるために、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指示により歌詞が削られます。
1947年(昭和22年)以降、小学校では3番まで指導となりました。
歌詞と歌詞の意味
JASRAC作品コード: 005-0980-9 によると歌詞の著作権は消滅していますので、歌詞を記載します。
古い言葉が多く使われているので、意味もわかりにくいです。教科書ではひらがなで表記されている部分も、漢字に置き換えながら解説していきます。
1番(われは海の子〜)
我は海の子 白浪の
騒ぐ磯辺の 松原に
煙たなびく 苫屋こそ
我が懐かしき 住家なれ
- 磯辺:岩石の多い波打ち際
- たなびく:横に漂っていく
- 苫屋(とまや):粗末な家のこと。茅などを編んで作った「苫」を乗せた家
<歌詞の意味>
私は海の子供だ
波しぶきのあがる海岸の松林
煙が漏れて流れていく粗末な家は
私が住んでいた懐かしい家である
2番(生まれてしおに〜)
生れて潮に 浴して
浪を子守の 歌と聞き
千里寄せくる 海の気を
吸いて童と なりにけり
- 潮に浴:海水の産湯
- 童:少年
<歌詞の意味>
産まれたら海水で体を洗い
波の音を子守唄にして
はるか遠くから流れてくる海の力を吸い込み
立派な子供に成長したものだ
3番(高く鼻つく〜)
高く鼻つく 磯の香に
不断の花の 薫りあり
渚の松に 吹く風を
いみじき楽と 我は聞く
- 不断:絶え間ないこと。不断花という季節問わずに花が咲く植物もあるらしい。
- 渚:水際
- いみじき楽:素晴らしい音楽
<歌詞の意味>
強い磯の香りの中に、
絶え間なく咲き続ける花の香りが混ざっている
海沿いの松林に吹き抜ける風の音は
素晴らしい音楽として私には聞こえてくる
4番(丈余のろかい〜)
丈余の櫓櫂 操りて
行手定めぬ 浪まくら
百尋千尋 海の底
遊びなれたる 庭広し
- 丈余:丈=3Mの長さ。丈余で約3M。歌の中では、とても長いという意味。
- 浪まくら:船の中で寝る。船旅。
- 櫓櫂(ろかい):櫓と櫂。船をこぐ道具。ボートのオールに似ている。
- 百尋千尋:尋は両手を広げた長さの単位。尋が百も千もあるので、とても長いという意。ここでは海の底を指すので、とても深いということ。
<歌詞の意味>
長いオールを操って
行く先を決めずに船旅に出る
とても深い海の底は
遊び慣れた広い庭のようである
5番(幾年ここに〜)
幾年ここに 鍛えたる
鉄より堅き 腕あり
吹く塩風に 黒みたる
肌は赤銅 さながらに
- かいな=腕
- 赤銅(しゃくどう):銅に金を混ぜた合金。赤銅色の肌はかなり黒に近い=相当日焼けをしている。
<歌詞の意味>
何年もここで鍛えているので
鉄のように固い腕になった
潮風が吹き 日焼けをし
黒くなった肌は赤銅のようだ
6番(浪にただよう〜)
浪に漂う 氷山も
来らば来れ 恐れんや
海まき上ぐる 竜巻も
起らば起れ 驚かじ
<歌詞の意味>
もし氷山が漂って来たとしても
来るなら来い、私は恐れない
海から竜巻が起こったとしても
起こるなら起こるが良い 私は驚かない
7番(いで大船に〜)
いで大船に 乗出して
我は拾わん 海の富
いで軍艦に 乗組みて
我は護らん 海の国
- 拾わん:拾いましょう
- 護らん:守りましょう
- いで:さあ!いざ!の掛け声
<歌詞の意味>
さあ、大船に乗り
私は海産物を集めよう
いざ、軍艦に乗り
私は日本の国を守ろう
歌唱ポイント
海で逞しく育った男の歌です。力強く、勇ましく歌いましょう。
1小節の中の1拍目に、少しアクセントを置くと力強さが増すと思います。
情景がどんどん変化していきます。
子守唄や花の香りはなめらかに歌い、力強く活動する場面では力強く歌いましょう。
初拝見です
軍艦の歌だったんですね☺️
久々に全文を見ました
わー
母から聞いて、意味は知っていました。
当時の小学校は木造で、土曜日の午後は運動場に整列し【我は海の子】の音楽に併せて帰宅たものでした。
真夏には、帰宅途中でもカバンを岸辺に置き海に飛び込んでいました!
今でも懐かしくてよく歌います。
呉市で生まれた88歳です。海の子はよく歌っていましたが7番まであるのを覚えていなかたので、探しました。