鯉のぼり
作詞:文部省唱歌 作曲:弘田 龍太郎
5月5日 端午の節句。
滝を登る龍のように、強く勇ましい男に育ってほしいという願いを込めた歌。
1913年(大正2年)『尋常小学唱歌 第五学年用』にて発表されています。こんな難しい歌詞が、5年生で・・・。すごいですね。
歌詞の意味
- 波のようなかわら屋根と 波のような雲
二つの波が重なっている間の空を
朝の風に吹かれて 橘の花の香りが漂ってくる
鯉のぼりが高く泳いでいる - 広く開いているその口は
船までも飲んでしまいそうな様に見えて
ゆったりと優雅に揺れている尾ひれは
なににも動じない堂々とした様子である - 浅く流れの速い小さな滝をたくさん登れば
あっという間に龍に変わると言われている
男の子たちよ そんな私の様になりなさい
空で鯉のぼりが踊る様に泳いでいる
難しい単語の解説
甍(いらか)
瓦(かわら)のことです。かわら屋根って、確かに波の様に見えますね。
・・・鯉は川魚なのに、波って・・・あ。素朴な疑問でした。
橘(たちばな)
柚子やみかんのような柑橘系の植物です。5月頃に白い花を咲かせます。
そういえば、おひなさまの桃の花の逆に、橘がありますよ。
百瀬(ももせ)の滝
浅く水が流れている場所を「瀬」と呼びます。それが100個という数字ではなく、「たくさん」という意味。
何度もなんども、浅くて小さな滝を上流に向かって鯉は泳いでいくのです。
中国には、滝を登った鯉が龍(竜)になるという伝説があります。困難を乗り越え、龍のように強くたくましい男に成長してほしい・・・という願いを込めた歌ですね。
昔の鯉のぼりは黒だけだった
今は、赤も青も緑も・・・カラフルな鯉のぼりですが、昔は黒1匹でした。
黒鯉の上に「吹き流し」がありました。
吹き流しは、カラフル。この色って意味があったんですよ。
鯉が黒なのも、実は大事な意味があるんです。これも中国の伝説からきています。
詳しくは「♪やねよりたかいこいのぼり〜〜」の記事にて紹介しています。合わせてお読みくださいね。
歌唱ポイント
爽やかな風と壮大で優雅な鯉のぼりを表現したいですね。
アタックをつけて力強く歌う場所、爽やかな風を感じるレガートな場所を歌い分けると、表情が出て良いかと思います。
ついついシンコペーションで歌ってしまいがちですが、「タッカタッカ」と「タンタタタタン」が共存しています。改めてリズムに気をつけながら歌ってみましょう。
鯉のぼりは2つあると思いますが、こちらの文部省唱歌は格式高く本当に素晴らしい曲と歌詞です。私は発達障害の未就学児の音楽療育を担当していますが、あえてこのこたちにこちらの鯉のぼりを聞かせています。どんな曲でもそうですが伴奏によってずいぶん感じが変わります。小栗克裕氏のアレンジはこちらの鯉のぼりにふさわしいちょっとだけ胸に迫るような和旋法が入っていてとても素敵です。生涯の曲にしたいと思います。
初めまして。
とても参考になるひまわりさんの解説に辿り着きました。とても丁寧に制作されている様子が伺え、素晴らしいです。YouTubeも登録させて頂きました。今後ともよろしくお願い致します♂️
オルガニスト高橋朋子様、はじめまして。
嬉しいコメントをありがとうございます!!
童謡を歌っていると、だんだんと古い歌詞の意味がわからないまま歌っていることに気が付き、気になって調べるようになりました。
参考になったということで嬉しいです。
YouTubeの登録もありがとうございます!お好きな曲がありましたら試聴くださいませ。
実は、こちらの方が好きなんです。勇壮な感じが…やはりアニソン好きだからかしら?
でも、歌詞も好きです。
「いらかの波と雲の波 重なる波の中空を」「百瀬の滝」。。ってすごい発想だなあって。
今のキッズソングにはなかなかこんな表現ないので、子どもたちに伝えていきたい曲ですよね!
ひまわりさんの歌は安心して聴ける心地いい歌声ですから子どもたちに聴かせるのにぴったりです♪
金色の女将さん、こちらにもコメントありがとうございます。
そうそう、勇敢な感じがありますよね!ヒーローものみたいですか?(笑)
この曲は言葉の選び方にセンスがあります。
難しい歌詞だととっつきにくいのですが、かみくだいて意味がわかってくるとイメージがしやすいかなと思います。