手のひらを太陽に
作詞:やなせ たかし 作曲:いずみ たく
実はうつ状態の中に、あるきっかけで歌詞が生み出されていた
1962年、NHKみんなのうたで放送されたがヒットせず。
1965年に、紅白歌合戦でポニージャックスが歌ったことで大ヒットとなる。
歌詞の意味
※ひまわりの動画では2番まで歌っていますが、3番もありました
- 僕らは皆生きているから、歌うし悲しい気持ちになる
手のひらを太陽に向けてみると 自分の血管が透けて見える
ミミズもオケラもアメンボも 生きている 友達だ - 僕らは皆生きているから、笑ったり嬉しい気持ちになる
手のひらを太陽に向けてみると 自分の血管が透けて見える
トンボもカエルもミツバチも 生きている 友達だ - 僕らは皆生きているから、踊ったり愛する気持ちになる
手のひらを太陽に向けてみると 自分の血管が透けて見える
スズメもイナゴもカゲロウも 生きている 友達だ
歌に出てくる生き物
この歌には、9種類の生きているものが登場します。
全部見たことありますか?
(筆者は、オケラとカゲロウを見たことがないです)
どんなふうに生きているのか、簡単に書いてみます。
ミミズ
わりと身近でみかけると思いますが、とっても不思議な生物ですよね。
目を持たず、普段は土の中にいて、土や草の腐ったものを食べているようです。
雨が降ると土の中で呼吸ができなくなり地上にはいだしてくるので、コンクリートの上で出くわすことが多いかと思います。
オスメスの区別がなく、それぞれが卵を産んで増えます。
が、体が分裂しても、それぞれが一つの体として生きていくらしいです。
鳥に食べられても、自ら途中で体を切り離して生き残る。すごい。。。。
オケラ
コオロギとモグラが合体したような不思議な体をしていますね・・・
本当の名前は「ケラ」で、ていねいな呼び方の「お」がついて「オケラ」です。別名モグラコオロギですって!(ウィキペディアより)
畑や田んぼなど、水の多い土の中で生きています。
木の根や種、ミミズや小昆虫などを食べて生きている雑食で、土を掘り進みながら食べ物を探すのだそう。
だからモグラのような土を掘りやすい前足をしているんですね。
アメンボ
水の上に浮いていて、すいすい移動するアメンボ。
蚊のような体つきをしていますが、なんだか近い。
アメンボは昆虫で、6本の足があり、実は羽を持っていて飛べます。
足の先には細かい毛が生えていて、体から油がしみだして水をはじくので、水の上に浮いていられます。
虫の体液を吸って生きています。
小さな虫が水面に落ちると、その波紋を感じ取って水の上を移動していくのだそうです。
トンボ
子供に人気の昆虫、トンボ。
童謡「とんぼのめがね」にもあるように、トンボは不思議な目を持っています。
六角形の目が1〜3万個集まってで大きな目をつくっています。頭はほぼほぼ目ですよね(笑)
前後左右すべて見渡せるので、敏捷に動きます。詳しくは「とんぼのめがね」にて。
子供の「ヤゴ」のころも、大人の「トンボ」でも、ずっと肉食。
ハエや蝶々、蜂や蛾などを足でしっかり抱え込み、豪快にバリバリと食べます。結構怖いです。
カエル
おたまじゃくしはカエルの子♪ 子供の頃は水の中で、カエルになったら水陸OKの両生類です。
水辺の近くに生きています。
鳥などにみつからないよう、草の近くにいるカエルは緑で、土や枯葉が多い場所にいるカエルは茶色になる。
肉食で、昆虫や蜘蛛などを食べて生きています。
ミツバチ
ミツバチは巣を作り、そのなかで人間と同じような「社会」で生きています。
巣のなかで、女王蜂が1匹、雄蜂が数十匹、そして働き蜂が数万匹。
働き蜂は、蜜を集める担当・巣を守る担当・攻撃担当など役割があります。
ミツバチは、花粉や花の蜜を食べて生きています。
働き蜂は女王蜂が産んだ子供たちのために、花粉団子を作って巣に運びます。
スズメ
街中でもよく見るスズメ。チュンチュンとかわいらしく鳴きます。
雑食で、稲などの種子や虫などを食べます。
稲作が少なくなってきたり農薬などで害虫がいないと、スズメも住みにくくなり、雀の数はどんどん減っているそうです。
それでも都会でも生き延びているのは、ゴミもあさる雑食だからかもしれません。
イナゴ
バッタの仲間。稲穂にいるので稲の子?でイナゴとなりました。
イナゴだからと言って稲の葉ばかり食べているわけではなく、さまざまな草を食べるそうです。
バッタとイナゴの違いは・・・・???
イナゴをひっくりかえして腹の上のあたりを見ると、喉仏のような突起があり、バッタには突起はないのだとか。・・・・そりゃわからんわ!
イナゴを食べる文化があります。
イナゴを佃煮にして、甘辛く煮込みます。タンパク質が豊富で脂肪がほぼなし。超健康食ですね!
筆者も子供の頃、イナゴが食卓にあがったことがありますが・・・・怖くて食べられなかったです。今も無理だわ。
カゲロウ
カゲロウを漢字で表記する場合、「蜉蝣」と「蜻蛉」の2種類が使用されますが、トンボ(蜻蛉)に近いようで違う生き物。
カゲロウの一生は、あまりにも儚く、子孫を残すためだけに生きる原始的な昆虫です。
幼虫は水辺の藻などを食べて静かに過ごし脱皮を繰り返します。
通常の昆虫は羽化して成虫になると羽を持ち捕食をしていくのですが・・・
カゲロウは羽化しても、まだ成虫ではない「亜成虫」という状態になり、川辺の木の枝に泊まって数日すごします。
最後の脱皮をすると成虫になりますが、
成虫になっても一歳食事をせず、
飛んだとしてもふわふわと力のない跳びかたをします。
木の枝の下でオスとメスが出会うのを待ち、その日のうちに後尾をして、そのまま寿命を迎えます。
セミよりも短い一生ですね・・・。
人間の感覚だと、なんのために生きているんだろう・・・と思うけれど、それでも「生きている」んですよね。
歌唱ポイント
青空の強い日差しの太陽に向かっている気持ちで、歯切れ良く元気に歌いましょう。
〇〇だーーって、の生き物の名前の部分は、音が低くなるので聞こえにくくなりやすいです。
言葉をより丁寧に伝える気持ちで。
心が病んでいた時にできた歌詞だった
作詞のやなせたかし氏は、アンパンマンの作者で有名ですが・・・幼少から辛い経験をされてきた方のようです。
やなせたかし氏作詞の「⏩さびしいかしの木」に、辛い経験が反映されているような気がします。
当時のやなせ氏は、仕事がうまくいかずにひどく鬱状態で、生きがいを感じられず暗い部屋に閉じこもっていたそうです。
ふと手元にあった懐中電灯をつけた時に手のひらに当ててみたら・・・・
光と指の境目の血管が透けて見えて
「・・・・あ。こんなぼくでも、生きているんだ。」と思ったそう。
ここから「ぼくらはみんな生きている」「手のひらを太陽にすかしてみれば」の歌詞ができたとのことです。
歌詞にでていくる生き物を見ていくと、あまり光の当たらない地味な生き物が多いですね。
そんな生き物だって「生きている」んですよね。
生きているもの同士という仲間意識を感じて「友達」という言葉を使ったのかなと思います。
ただただ元気なだけの歌ではなかったのですね。
この話を聞くと、歌詞のひとつひとつの意味が心に入ってきます。