花
作詞:武島 羽衣 作曲:滝 廉太郎
隅田川のほとりの桜の美しさを歌った曲です。
歌曲集『四季』の1曲目です。
本来のタイトルは「花盛り」であったが、第3曲「月」、第4曲「雪」と合わせるために「花」にしたようです。「荒城の月」や「箱根八里」と並び、瀧廉太郎の歌曲の中でも広く親しまれている曲となりました。
日本語の美しさと音の流れが見事にマッチして、音楽的にも素晴らしい作品とされています。
今でも女声合唱の定番曲として歌われ、女声2部合唱が中心のようです。
筆者が作った動画も、2部合唱の楽譜を見ながら歌っております。
歌詞と歌詞の意味
そのまま読んでもよくわかりませんよね。
歌詞と、現代語では意味がわからない単語などを解説し、最後に歌詞の意味として記載してみます。
歌詞
※著作権消滅しているので記載します
①春のうららの隅田川
のぼりくだりの船人が
櫂のしづくも花と散る
ながめを何にたとうべき
②見ずやあけぼの露浴びて
われにもの言う桜木を
見ずや夕ぐれ手をのべて
われさしまねく青柳を
③錦おりなす長堤に
くるればのぼるおぼろ月
げに一刻も千金の
ながめを何にたとうべき
難しい言葉の意味
うらら:穏やかに晴れている様子
櫂:船を漕ぐためのオールのようなもの
何にたとうべき:何に例えたら良いのだろうか(例えることができない)
あけぼの:明け方・早朝
手を述べて:手を差し伸べて
さしまねく:呼んでいる
錦おりなす:錦=美しい織物
長堤:長い土手。川沿いの土手のイメージ。
くるれば:日が暮れると
おぼろ月:ぼんやり霞がかった月
げに:本当に
一刻:その時、一瞬
千金:とても価値があること
歌詞の意味
- 穏やかに晴れた春の隅田川
上り下りする船で行きかう船頭さん達が
オールから落ちるしずくも 花びらのように散ってゆく
この素晴らしい眺めは、何に例えたらよいのだろうか - 見てごらんなさい 夜明けの朝露を浴びて
私に語りかけるような桜の木を
見てごらんなさい 夕暮れの風になびいて手を伸ばすように
私を招くような 青柳の木を - 美しい織物のような 長い堤防に
日が暮れると上る霧かかったような満月
本当にこのひと時も 素晴らしく価値のある眺めであり
この素晴らしい眺めは、何に例えたらよいのだろうか
歌唱ポイント
この美しさを何に例えたら良いのだろうか =何にも例えることが出来ないほど美しい。
それほど桜の美しさに感動している、という曲です。
1番は、離れた場所の桜と水の上の花びらの様子。
2番は、露もみえる近くの桜と手に届く柳の葉。
3番が、堤防のようになっている桜と月を広く見ている場面です。
距離感が違いますので、歌い分けられると良いですね。
音の動きが激しいですが、やわらかに、なめらかに歌いましょう。
花びらが風で散ってひらひら舞うようなイメージでしょうか。
歌声も、春らしく明るい美しい声を意識しながら歌ってみてください。