うれしいひなまつり

作詞:サトーハチロー 作曲:河村 直則

3月3日桃の節句。女の子の成長を祝う行事です。
ひな人形を飾ってお祝いします。

昭和11年1月に作曲。各社からレコードが発売され、日本中に広まりました。現在でもひな祭りの季節には欠かせない曲として歌い継がれています。

歌詞の意味

  1. ぼんぼりに明かりをつけましょう
    桃のお花を飾りましょう
    五人囃子が笛や太鼓を演奏している
    今日は楽しいひな祭り
  2. お内裏様とお雛様が
    横に並んですましている
    お嫁に行った時の私のお姉さんと
    官女の白い顔がよく似ている
  3. 金色の屏風に雪洞の火が映って
    春の風が吹いて光が少し揺れている
    少し日本酒をを飲んだのだろうか
    右大臣の顔が赤くなっている
  4. いつものかすりの着物から特別な着物にかえて 帯を締めて
    今日は私もお雛様のように綺麗になったの
    春の心地よいこの日に
    とても嬉しいひな祭り

歌唱ポイント

ヨナ抜き音階と言われる日本独特の音階で構成されています。
音が上下に動き、とても音程を取るのが難しいのです。(ひまわりの歌っている音源も、どうしても不安定になっちゃってゴメンナサイ・・・・。未熟者デス。)

小さな女の子がお着物を着ておすまししている姿を想像しながら、ほほえましく歌いましょう。

歌詞に出てくる人形はどこに飾られてるものか

歌詞に出てくるのは、全て雛段飾り(大きなタイプ)に登場するものです。
最近では大きな7段飾りが飾れる住宅事情ではなくなり、親王飾りや2段飾りなのコンパクトなものでお祝いする傾向があります。

わかりやすい画像を作成しました

「うれしいひなまつり」に出てくる登場人物などが、ひな壇かざりのどこにあるのか画像を作ってみました。
ぜひ歌詞を思い浮かべながら見比べてみてください。

下に解説を書いております。併せて読んでみてください。

※間違えた解釈のままの画像を掲載しておりましたので、2020.2.25に新画像に差し替えいたしました

ぼんぼり

高い位置で明かりをとるもの。
今は電球ですが、昔はろうそくの火でした。周りに綺麗な和紙がはっており、風が入るのを防ぎ、美しく光ります。

お祭りやお盆など、紙の筒に蝋燭を入れてぶら下げて使うものは「ちょうちん」と呼び、背の高い台座の上にあるのが「ぼんぼり」のようです。

桃の花

右のピンクの花。桜じゃないです、桃です。

ちなみに左のミカンみたいなのは「橘(たちばな)」です。昔は柑橘類をまとめて橘と呼んでいたようです。

五人囃子(ごにんばやし)

楽器隊です。お祭りで笛や太鼓で演奏しているのを「おはやし」と呼びますね。おはやしさんが5人いるので、五人囃子です。

お内裏様(おだいりさま)とお雛様(おひなさま)
最上段にいる主役の2人。男がお内裏様で女がお雛様と歌われていますが、本当は「内裏雛(だいりびな)」「女雛(めびな)」です。
※なぜおだいりさまとおひなさまになってしまったのかは、下で解説します

官女(かんじょ)

お世話係です。三人並んでいるので、三人官女と呼ばれます。
右大臣を酔わせた白酒(日本酒)を持っているのも官女の1人です。

コンパクトタイプのお雛様にも、かろうじていますので、見たことがある方も多いでしょう。

金の屏風(びょうぶ)

間仕切りのこと。
お内裏様とお雛様の後ろにある金色のじゃばらおりの豪華な屏風は、さすが公家のお祝いの席です。

右大臣(うだいじん)

本来の意味は「雛壇に座っている人形の目線からみて、右を守る大臣」なので、
向かって左に座っているやけに白いつるっとしたお顔の大臣のことを指します。

が、しかし!

お酒を飲んで顔を赤くしている大臣は、本来の左側(向かって右側)のお髭のはやした顔の赤い大臣なのです。

※この解釈について下の方に書きます

お子さんと歌いながら、どのことをさしているのか教えてあげてくださいね。

お子様には、右側にいるおじいさんが、「お赤いお顔の右大臣」だということでOKかと思っています。
「少し白酒召された」「赤いお顔」の意味と人形の表情が繋がることが大事かと考えます。

本当の右大臣は、真っ白なお顔で(やけに白いのがきになるのだけど、化粧しているのかしら・・・)しっかりと任務を務めている最中に見えますので、濡れ衣をきせられては可哀想かと(笑)ね、ハチローさん・・・。

歌詞の解釈と、間違った言葉で歌詞を作ってしまった説

昔の言葉ですので、違う解釈もできるようです。

作詞家のサトーハチロー自身が、宮中行事の言葉の意味を取り違えて作っちゃったままになってる・・・という新事実も。
(2019.3.1放送のNHK番組で、サトーハチローさんのお子様が語ったそうです)

お嫁に来た?行ってしまった?

お嫁に「いらした」は、お嫁に「いらっしゃった=来た」だと思っていました。

ですが、「お嫁に行ってしまった」という解釈にもなるのだとか。

雛人形を飾っているときに手にした官女をみて思い出したのでしょうか。
大好きなお姉さんがお嫁に行ってしまった時の白いお化粧をした顔は、この人形の官女によく似ている・・・。

なるほど、そう考えると歌詞に合致がいきますよね。

なんだか切ないですね。
だからなのでしょうか。曲の音の作りがちょっと寂しげですよね。

右大臣と左大臣って、結局どっち?

右にいる大臣、左にいる大臣。
これはあくまでも、人形を見ている私たちから向かって右ではなくて、「右側を守る大臣」だから右大臣なのです。

でも・・・違和感を感じますよね。
私はずっと、赤い顔したのは右にいるおひげのおじいさんだから、右大臣もおひげの方がと思ってました。

雛飾りをお持ちの方、メーカーさんから出ている飾り方の紙がありませんか?
向かって左に飾る若い方が「右大臣」と書いてあると思います。

サトーハチロー氏は、右にいるおひげの顔の赤い方を「白酒をのんだかもしれない大臣」として歌詞を作りました。
しかし、向かって右にいる大臣を「左大臣」と呼ぶことを知らなかったので、右にいるから「右大臣」と書いてしまったのだそうです。

本来は「赤いお顔の左大臣」という歌詞にすべきだったのに、間違えたまま右大臣として世に広まってしまいました。

「おだいりさまとおひなさま」は一番上の二人を表す呼び方では無かった

おだいりさまとおひなさま 二人並んですまし顔♪ という歌詞からして、
一番上にいる二人の男側が「おだいりさま」 女側が「おひなさま」と思われがちですし、私もずっとそう思っていました。

これも、サトーハチロー氏の解釈ミスのようです。

お内裏様=1番上の二人をまとめて呼ぶ言葉

お雛様=ひな壇飾り全てをさす言葉

これが、言葉の意味として正しいのだとか。
驚きですよね。

雛段飾りは昔の「嫁入り」の姿だった

3月3日のひな祭りが終わると、すぐに片づけをします。そうしないとお嫁に行くのが遅くなると言われています。
おまじない的な意味合いだったという説と、時期的な飾りをいつまでも放置するような女は嫁の貰い手がないと、いう説がありますね。

「嫁に行く=もらってもらう」なんですよね・・・。

昔話でも時代劇でも、「娘をもらう」「娘をやる」という言葉がよく出てきませんか?

昔は、女の幸せははやく良いところへ嫁に行く事、と言われてきました。

女は子供を産み育てるものと考えられていたので、初潮を迎えたらもう嫁入りのできる体なのです。

今は結婚相手を恋愛をした当人同士で決めますが、昔は嫁入り先は親が決めていました。

結納とは、女性の交換(売買?)契約のようなもの

「結納」という儀式があるのをご存知でしょうか。

今は結納をする地域も少なくなってきたと思いますが、「結納」とは、結婚式の前にやる「婚約の行事」です。

婚約とは、結婚をすることを約束する、ということですね。
その約束を口約束ではなく正式なものだと証明する見届け人が必要です。それが「仲人口(なこうど)」さんです。

娘の身を相手の家に置く約束として、代わりに沢山の結納金と交換し、書類にサインをするのです。
結納は、悪い言い方をすれば人身売買の事前儀式。結納金という身代金との交換です。

結納という正式な婚約をしてしまったら、もう・・・嫁にいくしかないのです。

貧しい家では、娘をどれだけ裕福な家に嫁に行かせるかで、残された家族の生活がかかっていたことでしょう。結納金は相当な影響力があったことだと思います。

昔話「ねずみの嫁入り」では、親は世界で一番立派なところに嫁にいかせようと奮闘します。(娘チュウ子の意志など全く無視なのですよね。)
時代劇「水戸黄門」でも、おとっつぁんの決めた家に娘を出すシーンはよくありましたよね。

嫁入りと披露宴は、家の力を披露する場

嫁入りとは、結納を無事に済ませた後、両家の親が決めた日に、嫁入り先へ移動をします。
昔はトラックなどありませんから、牛に荷物を乗せた台車をひかせたり、たくさんの人が荷物を持ち並んで歩きます。

結納金を受け取った女側の家では、嫁入り道具と称した豪華な家具や着物などを揃えるのです。
どれだけお金持ちの家へお嫁に行くのかを近所に知らせるため(力関係を示すため)の嫁入りの儀式だったのです。

豪華な嫁入りができない場合は、近所に知られないように、真夜中にこっそりと移動することもあったのだそうです。

結納や嫁入りは、本人たちの気持ちは関係なく、両家の親同士が決めるもの。

全く知らない男性の家にいかねばらならないお嫁さんの気持ちなど、昔は見て見ぬ振りです。
おめでたいこととして扱われ、盛大な酒の席が設けられてます。今はその名残が「披露宴」ですね。

お金持ちの公家へ嫁に行き、盛大な宴があった様子を人形にしたのが「雛人形」であり、その雛人形を飾る様子をうたった童謡が「うれしいひなまつり」です。

嫁入りの話など知らない女の子が、楽しそうに雛人形をかざります。これから雛祭り会のために、綺麗な着物に着替えて準備をするところなのです。

楽しいはずなのに・・・・どうも物寂しいメロディです。

嫁入りの影をうたった童謡を紹介

嫁入りの様子を歌っている曲です。曲調も暗く悲しげです。

【花嫁人形】
♬銀蘭緞子の帯締めながら 花嫁御陵はなぜ泣くのだろう
煌びやかな着物に着飾って嬉しいはずなのに・・・・泣いているのですね

【花かげ】
♬桜吹雪の花影に 花嫁姿のお姉さま お別れ惜しんで泣きました

雨降りお月
♬お嫁に行くときゃ誰と行く 1人でからかささしていく
たくさんの荷物と一緒にでなはい身一つの嫁入りは、誰にもみられぬようにひっそりと夜中に1人で行くのでしょうか。

まとめ

子供向けの解釈としては、

  • おだいりさま→男
  • おひなさま→女
  • 右大臣→右にいるおひげの方

という形が「この曲を楽しむ」のに一番適しているのでしょう。

古い歌は言葉が難しいゆえに様々な解釈があるし、まして作詞家サトーハチローが解釈をまちがった歌詞を作って、そのまま広まってしまったなんて。
「うれしいひなまつり」という曲は、なかなかおもしろいですね。

 

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うれしいひなまつり” に対して1件のコメントがあります。

  1. ぴよぴよ より:

    へぇーずっとおだいりさまとおひなさまって上の二人だと思ってた
    こういうのがあると新しいことがわかるのでうれしいですね!

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