さくらさくら

作詞作曲:不詳

さあ、桜を見にいこう!

江戸時代から伝わる箏曲(お琴用の曲)に、1888年(明治21年)歌詞がつきました。
その後、歌詞が変化しています(この記事の後半で解説しています)が、今も世界で愛される日本の名曲です。

歌詞と歌詞の意味

明治21年初版の歌詞と、その意味を解説します

明治21年初版の歌詞

さくらさくら
弥生の空は見渡す限り
霞か雲か 匂いぞ出ずる
いざやいやざ 見にゆかん

歌詞の意味

さくらさくら
三月の空を見渡してみると
ぼんやりとしてやわらかな色が見えてきた
さあさあ 見に行こう

言葉の意味

弥生

三月のことです。日本の古い月の呼び方は
1月 睦月 (むつき)、2月 如月 (きさらぎ)、3月 弥生 (やよい)・・・・
この「やよい」です。

旧暦3月は「現在の3月の終わり頃〜5月の頭くらいまで」を指しており、ちょうど桜の時期にあたりますね!

霞みか雲か

霞=ぼんやりと焦点が合わないこと
雲=こちらもぼんやりしていますよね

匂いぞ出る

桜の花が咲いても、匂いはあまり感じないので・・・念入りに調べてみました。

「匂い」という言葉には、嗅覚で感じる「匂い」の意味だけではなく、
・いかにもそれらしい感じ・趣。
・どことなくただよう情趣・気分・余情
・白くかすんだように見える部分
・濃い色からしだいに薄くなっていくもの。ぼかし。

などを表現する言葉のようでした。

ですので、歌詞の意味としては
「やわらかな色が見えてきた」という感じかなと思います。

歌詞の変化

「さくらさくら」は、日本の古謡です。
子供のお琴練習曲として江戸時代に作られた「咲いた桜」がルーツだと言われています。

そこから明治時代に作られた歌詞が、動画と同じものです。

さくら さくら
やよいの空は 見わたす限り
かすみか雲か 匂いぞ出ずる
いざや いざや
見にゆかん

そして、以下が昭和16年に変更された文部省唱歌の歌詞。
現代の教科書に掲載されいている歌詞です。

さくら さくら
野山も里も 見わたす限り
かすみか雲か 朝日ににおう
さくら さくら
花ざかり

思えば、私も後者の歌詞を学校で習いました。
昔の歌詞よりも、意味がわかりやすくなっていますよね。

どちらがひまわりの好みかというと、やはり前者です。
「いざやいざやみにゆかん」ここが好きなのです。

遠くで色づく桜を見て居ても立っても居られない・・・・早く見に行こうよ!!!

あっという間に咲いて、あっという間に散ってしまう桜。一瞬の美しさだからこそ、日本人の心に響いて歌い継がれているのでしょう。

世界でもこの曲は有名で、日本人が外国で演奏会をするときには、アンコール曲としてよく選ばれるとのこと。

歌唱ポイント

遠くの景色の広がり、霞みがかった柔らかな色合いを、声に乗せて歌うのが理想ですね。

歌声からこの曲の風景を感じられたら最高なのですが・・・

とにかくレガートに。あたたかな空気が流れるように、優しい響きを絶やさないように気を配りましょう。

「いざやいざや」は気持ちの高ぶりを、ほんの少しのアクセントで表現します。

声の伸ばした後の始末はとても大事です。ぶちっと切らずに柔らかく包み込むように処理してください。

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さくらさくら” に対して3件のコメントがあります。

  1. 田浦精一 より:

    初版の歌詞の方がいいです。文語体ですが、あえて歌詞を変更することはないと思います。
    1週間くらいしかもたないはかなさ、命の短さは今の歌詞では、伝わってこないです。
    いざや、いざやに気持ちが現れています。

  2. 匿名 より:

    深く包込むような伸びのある澄み切ったご歌唱有難う御座いました。
    現在版歌詞は知りませんでした。具体的になりすぎの感じがします。
    やはり明治時代の古い歌詞がこの歌にピッタリですね。

    1. ひまわり より:

      ご感想ありがとうございます!
      新しい歌詞は「具体的になりすぎ」・・・確かにそうかもしれませんね。

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