故郷の空

作詞:大和田 建樹 作曲:スコットランド民謡

横断歩道のあのメロディです

1888年(明治21年)刊行の唱歌集「明治唱歌 第一集」に掲載されました。
元曲は、スコットランド民謡である「ライ麦畑で出会ったら」ですが、全く別の歌詞がつけられました。

その後、戦地で故郷を思い出す兵士たちに愛され、歌い継がれたそうです。

歌詞

著作権消滅している歌詞ですので、記載いたします。(原詩はどこまで漢字なのかは不明です)

  1. 夕空晴れて 秋風吹き

    月影落ちて 鈴虫鳴く

    思えば遠し 故郷の空
    
ああ 我が父母 いかにおわす
  2. 澄みゆく水に 秋萩垂れ

    玉なす露は ススキに満つ
    思えば似たり 故郷の野辺

    ああ 我がはらから たれとあそぶ

歌詞の意味

現代の言葉では微妙によくわからない歌詞でしたので、調べてみました。

月影落ちて

月の影が落ちる・・・?となりますね。

月影=月の光 という意味もあるそうです。
月の光が落ちるは、月の光が降り注ぐという感じかと思います。

いかにおわす

いかがなさいましたか?の、いか=如何

どうされているのか、何をしているのか、どのように過ごしているのか

秋萩垂れ

萩は秋に花を咲かせ、細長い茎が垂れます。

玉なす露

朝露のように、葉の上にたまった丸い水滴

はらから

漢字で書くと「同胞」。
同じ母から生まれた仲間のことで、兄弟姉妹のこと。

たれとあそぶ

たれ=誰。
誰と遊んでいるのだろうか。

全体の意味

夕方の空が晴れて、秋の風が吹き、月の光で照らされ、鈴虫が鳴いている。
そういえば、故郷の空は遠い。
ああ、私の父母は、どのように過ごしているのだろうか。

澄んだ水に萩の花が垂れている。朝露の水滴がススキにたくさんついている。
そういえば、故郷の野原と似ている。
ああ、私の弟は誰と遊んでいるのだろうか。

歌唱ポイント

シンコペーションのリズムにひっぱられ日本語が伝わりにくいと感じますので、
言葉が立つように丁寧に歌えればと思います。

元曲は全く違う歌詞だった

原曲のタイトルは “Comin’ Thro’ the Rye”。(ライ麦で出会ったら)
歌詞もいくつかの方言によるバージョンがあるらしいのですが、
ドリフターズが歌っている「誰かさんと誰かさん」が元歌詞におおよそ忠実な日本訳詞になっているそうです。

ライ麦は背が高く、ぎっしり生えているライ麦畑は人間の体は隠すほど。
誰かさんと誰かさんがキスしても、あれこれしても、ほぼ見つかりません(笑)

春歌とでもいいますか、そんな大人な青春の歌詞なので、
教育現場ではそのまま使われないですよね。

大和田氏の歌詞がなければ、横断歩道にも採用されなかっただろうなと思っております。

他にスコットランド民謡から日本の名曲になったのが「蛍の光」ですね。

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