作詞:井上 赳 作曲:下総 皖一

夕方から夜にかけての蛍の様子をうたった曲です。
とても幻想的な光が真っ暗な川原に広がっていきます。

昭和7年文部省発行「新訂尋常小学唱歌」の3年生用に掲載されました。

歌詞の意味

  1. 螢のやどは川ばた楊(蛍の家は川の横の背の高い草)
    楊おぼろに夕やみ寄せて、(あたりが薄暗くなってきて)
    川の目高が夢見る頃は、(川のメダカが寝付くような時間に)
    ほ、ほ、螢が灯をともす。(ほたるが光りだす)
  2. 川風そよぐ、楊もそよぐ、(川の風がふいて草がゆれる)
    そよぐ楊に螢がゆれて、(ゆれる草にいるほたるも揺れる)
    山の三日月隠れる頃は、(山の上の三日月が雲に隠れて暗くなる時に)
    ほ、ほ、螢が飛んで出る。(蛍が草から飛んで出てくる)
  3. 川原のおもは五月の闇夜、(河原のほとんどが月の光も薄い闇の中)
    かなたこなたにに友よび集ひ、(周囲から仲間が集まってきて)
    むれて螢の大まり小まり、(大きいのや小さい丸い光が)
    ほ、ほ、螢が飛んで行く。(一斉に群れをなして飛んでいく)

歌唱ポイント

川原がだんだんと暗くなっていく様子、風がふいて草が揺れる様子、蛍の光が少しずつ増えていく様子をイメージします。

蛍の光は柔らかなまるい光です。声もやわらかく丁寧に歌いましょう。

「ほ、ほ、」は蛍のおしりがぽおっと光るイメージで。

螢(ほたる)ってどんな生き物?

ホタルは、昆虫の仲間。世界に2000種ほどいる中で、日本では10種ほどだそうです。すべてが光るわけではなく、日本にいる光る蛍の代表的な種類は「ヘイケボタル」と「ゲンジボタル」です。

(江戸時代にも蛍は一般的に居た文献があります。生息地から源氏と平家の話になぞって名前が付けられたのでしょうね)

弱めの光を細切れに放つ「ヘイケホタル」は全国に生息。
明るく長めに光る「ゲンジボタル」は、本州から九州の方が生息地だそうです。

綺麗な川の横の草に産み付けられた卵が孵化すると、幼虫は川の底へ行き、小さなカワニナ(巻貝)を食べ成長します。成虫になると食事はとらず、約2週間ほどで寿命となります。その2週間の間、一生懸命オシリを光らせてパートナーを探すそうです。

光り方の違いで雄と雌を見分け、パートナーが見つかると交尾し、産卵が終わるころには死んでしまいます。

ホタルが光ることのできる数日間は、ホタルの一生の中で一番のクライマックスなんですね。

生息地は広いようですが、綺麗な水場であることが条件です。
環境の汚染により螢が住める綺麗な水のある場所がどんどん少なくなってきており、今では螢を見れる場所はかなり限定されています。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


唱歌

前の記事

夏は来ぬ
唱歌

次の記事

花火